Kazushi Watanabe
2001 年生まれ。新極真会 世田谷・杉並支部 (塚本道場) 所属。兄・渡辺優作も同じ道場で戦う空手兄弟の弟である。身長 170cm・体重 83kg の軽重量級。 高校時代にドリームフェスティバル高校生重量級で 2 年連続準優勝、第 17 回全アジア選手権 +85kg 準優勝。そして 2025 年、第 1 回 WFKO 世界大会の男子軽重量級 (-90kg) を制し、世界王者になった。 同じ年の 10 月、第 57 回全日本空手道選手権。決勝まで勝ち上がった彼を待っていたのは、カザフスタンのアンジェイ・キンザースキーだった。開始 42 秒、上段膝蹴りの一本負け。新極真会史上初の「外国人全日本王者」誕生の瞬間、その向かい側に立っていたのが渡辺である。日本の全日本を取り戻す。10 月の第 58 回大会へ向かう動機として、これ以上のものはない。
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10月10-11日 新極真会 第58回全日本 (東京体育館) 男子無差別級にエントリー (前回準優勝)
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渡辺和志 を特集した AI 音声番組の台本全文 (編集部承認済み)。音声で聴く →
アイおはようございます。「ゴングが鳴るまでの人生ー生きざま伝ー」第4回です。今回は新極真会の渡辺和志。去年の全日本で準優勝、10月10日と11日の第58回全日本にシードで登場する25歳です。
ベンはい。この人の話は、去年の決勝から始めるのがいいと思います。2025年10月19日、東京体育館。相手はカザフスタン支部のアンジェイ・キンザースキー。結果は本戦42秒、右の上段膝蹴りで一本負けでした。
アイ42秒。
ベンええ。和志選手がボディに突きを連打すると、キンザースキーは両手を広げて受け続けた。そして左の膝蹴りをボディに連打したあとの右の膝蹴りがクリーンヒットして、和志選手が倒れた。これが決勝の全部です。
ベン新極真会の公式連載はこう書いています。ふたりの身長差は23センチ。長いリーチで距離の自由を奪い、近づけば膝蹴りとカウンターの突きが待っていた。あの上段膝蹴りを、本人は「見えない角度だった」と振り返っています。
ベン勝ったキンザースキー本人も「自分でも驚いている」と語った一本でした。
アイこの決勝は、歴史的にも大きな意味があったんですよね。
ベンそうです。公式連載の位置づけは、1969年から守り継がれてきた王座の初流出。新極真会の全日本で、海外の選手が初めて優勝した大会になりました。
ベン緑健児代表も翌月のメッセージでこう書いています。「第1回WFKO世界大会軽重量級王者・渡辺和志選手が日本代表として決勝に進出し、カザフスタンの新鋭・アンジェイ・キンザースキー選手と激しい戦いを展開しました。結果は、アンジェイ選手が一本勝ちを収め、見事な戴冠を果たしました。」
アイそして、兄も同じ相手に負けている。
ベンはい。準決勝で兄の渡辺優作が、同じキンザースキーに本戦0-5で敗れています。兄弟そろって、同じ男に止められた。最終結果は優勝キンザースキー、準優勝が和志、3位が優作です。
アイでは、生まれから辿りましょう。
ベン2001年生まれ。兄の優作さんは1998年生まれで3つ上です。小さい頃の和志さんは、体が小さくて勝てなかった。2021年のインタビューでこう言っています。「僕は小学1年から小学4年生頃まで、ずっと体が小さかったのでどうしても勝てなくて。ご飯をしっかり食べて身体づくりして…という時期がしばらく続き、すごくつらかったですね。」
ベン兄については、こうです。「僕は小さい頃からずっと兄の背中を見て育ってきたので、何よりも超えたい存在です。もう一度勝って「成長したよ」というのを伝えたかったんですが、壁はまだ高かった。」
アイ兄弟で戦ったことがあるんですね。
ベンこの発言は、兄との対戦に敗れた直後のものです。そのあとにこう続けています。「少しずつ兄の実力に近づけている実感もあった分、負けてすごく悔しかったです。ですが「これからまた全力で練習するぞ」という気持ちが強くなったので、いい経験だったと思います。」
アイ転機はどこにあったんでしょう。
ベン2017年5月、新極真会の塚本道場へ移籍します。移籍後初の大会は決勝で敗れて、結果が出ないのは意識や稽古の質と量が足りないからだと気づいた、と昇段レポートに綴っています。
ベン塚本道場を率いる塚本徳臣師範は、全日本を5度制した人です。
ベン入門のきっかけを、本人はこう語っています。「実際に見学した時、見たことのないような練習ばかりで衝撃だったのを覚えています。すぐに「自分はこういう練習をするべきだ」と思いました。そこで自分の組手スタイルを受け入れてくださって、それを伸ばす事ができたと思います。」
アイタイトルまでは、時間がかかった。
ベン日本代表には選ばれ続けました。第7回と第8回の全世界ウエイト制、そして第13回世界大会。
ベン初めての大きなタイトルは2025年6月1日、有明アリーナ。第1回WFKO世界大会の軽重量級決勝です。相手はスウェーデンのヨナス・ロジン。本戦は0-0、延長も胸を突き合わせる距離の突き合いになって、判定は3-2。副審が2対2に割れて、主審が和志に旗を上げました。
ベン優勝直後の言葉です。「嬉しい気持ちもありますが、優勝できたのは応援してくれた方々のおかげなので感謝の気持ちです。今までタイトルがひとつも獲れていなかったのでここで獲ると決めて1日も無駄にせず稽古してきたので嬉しいです」
アイそこから4か月半後の全日本。
ベンWFKO王者として2回戦から登場して、初戦は杉本昌哉に本戦4-0。
ベン最終日は四回戦で落合奏太に本戦3-0。準々決勝は白蓮会館の多田大祐と再延長まで決着がつかず、軽い和志が体重判定で勝ち。準決勝は岡田侑己に延長で下段廻し蹴りの技有りを奪って5-0。そして決勝の42秒です。
アイ2026年に入ってからは。
ベン7月19日の第2回KCC、2回戦でアントン・ジマレフに敗れました。終盤、ジマレフの左の突きが胸元に当たった直後に倒れて、VAR判定でいったんはジマレフの反則とされましたが、延長に入った直後に主審が聞き違いだったとして技有りに訂正し、本戦に遡ってジマレフの勝ちに裁定が変わる異例の決着でした。兄の優作もグザウスカスに延長4-1で敗れて、日本勢の男子は初戦で全滅です。
アイそして第58回。
ベン9月1日に、新極真会が第58回全日本の組み合わせを発表しました。
ベン前回王者のキンザースキーは男子62名の出場者一覧に名前がなく、雪辱の相手はいません。その代わり、兄弟はシード1位と2位で山は反対側。ともに2回戦から登場して、当たるとすれば決勝だけです。
ベン兄の優作さんは去年の全日本前にこう言っています。「毎回のことですが、弟との決勝対決はふたりの目標です。実現すれば、両親へのこれ以上ない恩返しになりますからね。」
ベンただし、同じインタビューでこう続けています。「もし対戦することになれば、勝ちを譲る気はありません」
アイ和志さん自身は。
ベン2021年、まだ何のタイトルもなかった頃の言葉があります。「僕も5月の大会に出場します。兄とは階級が違うので、今度こそ優勝します。12月の大会では少しでも兄に近づけるよう頑張って、そして今後おこなわれる世界大会に、日本代表として出場できるようになりたいですね。」
ベン世界大会の日本代表にはなった。世界のタイトルも獲った。残っているのは、兄に近づくことと、日本から42秒で奪われた王座を取り戻すことです。公式連載はあの決勝をこう結んでいます。「逆襲の炎が日本を復活させるのか。ひとつの時代の終止符が、新章のはじまりを告げた。」
アイ渡辺和志、日本勢の王座奪還と兄弟決勝への挑戦は10月10日・11日、第58回全日本空手道選手権です。当サイトでは大会当日、注目選手の勝ち上がりを随時お伝えします。ベンさん、ありがとうございました!
ベンありがとうございました。